アイデアがいっばい生まれる家

里山のすそ野に広がる田畑とそこに建つ古民家。原田商店社長の原田直紀さんが長年取り組んでいるのは、古き良き田舎の景観に欠かせない古民家を守り、受け継ぐためのお手伝いをすること。空家となった綾部・福知山の古民家を、取り壊される前に買い上げ、華美な内装工事は行わず、傷んだ箇所を修復、あくまで安全で衛生的に暮らすために必要な改装を施し、住む人が好みに応じてリフォームする余地を残している。多くの人にとって無理のない価格で提供したいとの思いからだ。

そんな田舎生活の頼れるパートナーである彼がこの春、福知山の田舎に古民家展示場をオープンさせた。私が初めて訪れたときの印象は、まさしく「リトリート」。仕事や日常から離れ、自分だけの時間に浸り、自分を見つめ直せる場所である。

同時に「センス・オブ・ワンダー〜自然の神秘に目を見張る感性〜」を育み、五感 が研ぎ澄まされてどんどんアイデアが生まれる家でもある。囲炉裏の前に座って見上げる天井の太い梁に、この家を受け継いできた時の流れを思い、デッキから眺める小川と巨樹のある風景に、他とない安らぎを覚えるだろう。一人になる時間がなかなかとれない経営者の方や、クリエイター、アーティスト、子どもにセンス・オブ・ワンダーを養ってほしいと願う親御さんに、ぜひ一度訪ねてみてほしい。わずかな時間でもきっと、大事な何かを取り戻せるに違いない。

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